kaneQの中学受験算数講座

図で考えれば中学受験算数なんて怖くない!

4-1. 和差算

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(Rev.0.00:2020/2/25)

 

こんにちは、kaneQです

 

「算数は図で考える」を身につけ、算数の成績を伸ばしましょう

 

参考:目次


今回から特殊算の分類ごとに「算数は図で考える」を実践します
本サイトでは、「基本」で説明した『問題文を、先頭から順に、そのまま図に書く』を中心に紹介しますが 、中には「応用」で説明したようにそのまま図に書けないような問題も扱う事があります。応用問題や発展問題の足掛かりと考えて是非、挑戦してみて下さい

 

今回のゴールは以下です
ゴール:「和差算」を線分図で解いてみる

 

和差算とは、2つの数量の和と差が与えられた場合のそれぞえの数量を求める問題です。数量は2つとは限らず3つやそれ以上の事もあります

 

本記事では以下の4つの問題を解いてみましょう

 

問題1(基本)

餃子が30個あります。兄は弟より4個多く食べました。弟は餃子を何個食べたでしょう?

問題2(基本)

大、中、小3つの数があります。全部の合計は350です。大は中より26大きく、中は小より12大きいです。大、中、小の数はそれぞれいくつでしょう? 

問題3(応用)

大、中、小3つの正方形がならんでいます。大、中、小のそれぞれの正方形の1辺の辺の長さはいくつでしょう?

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問題4(応用)

ある船が川を上るときの速さは時速20㎞で、同じ川を下るときの速さは時速26㎞でした。この船の静水時の速さと川の流れの速さはそれぞれ時速何㎞でしょう。

 

問題1と問題2は2つの数量の和と差に関する条件がそのまま与えられている基本問題です。問題3と問題4は和と差がそのまま与えられているわけではないので応用問題になります

まずは自分で考え、考えてから答えを読んでください。答えと別の解き方をしても問題ありません

 

問題1(基本:数量の和と差に関する条件がそのまま与えられている

餃子が30個あります。兄は弟より4個多く食べました。弟は餃子を何個食べたでしょう?

 

いつものとおり、問題文をそのまま図に書きます。今回は兄と弟を比較したいので兄と弟を別の線であらわしてみます

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この図から分かることはなんでしょう?ここが重要なのでよく考えてください

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そうです。赤く囲った部分が26個であることが分かります。赤くかこった部分は弟が食べた餃子の数が2つ分なので、弟が食べた餃子の数は

26÷2=13

となり、13個食べたことが分かります。これが答えです

 

(別解)兄が食べた個数を先に求める方法

兄が食べた個数を先に求める場合、次の図のように弟の線の長さを兄の線の長さにそろえてみます

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弟の線を4個分伸ばすことになるので、合計は

30+4=34

となり34個であることが分かります。この34個は兄が食べた個数の2つ分なので、兄が食べた餃子の数は

34÷2=17
となり17個であることが分かります。兄は弟より4個多く食べているので弟が食べた餃子の数は

17-4=13

となり13個である事が分かります。これが答えです

 

問題2(基本:数量の和と差に関する条件がそのまま与えられている)

大、中、小3つの数があります。全部の合計は350です。大は中より26大きく、中は小より12大きいです。大、中、小の数はそれぞれいくつでしょう? 

大/中/小の3つの数の合計と、大/中の差、中/小の差が示されています。大、中、小を比較するために3本の線であらわしてみます

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このように書くと大、中、小の大きさの違いが分かりやすくなりますね。ここで、小を基準に中と大を考えてみます。小を基準にするので小の大きさの赤枠で囲うと以下のようになります

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赤枠で囲った部分の数量は300になります。これは小が3つ分の量なので、小は

300÷3=100(小)

と求まります。中は小より12大きいので

100+12=112(中)

と求まります。同じように、大は中より26大きいので

112+26=138(大)

となります。以上より、大、中、小はそれぞれ138、112、100と求まりました

 

問題3(応用:数量の和と差に関する条件がそのまま与えられていない)

大、中、小3つの正方形がならんでいます。大、中、小のそれぞれの正方形の1辺の辺の長さはいくつでしょう?

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この問題、どのように解くかわかりますか?

よく考えてみて下さい。大と中と小の3つの量があり、大/中/小の合計と、大/中の差、中/小の差が示されています。大、中、小を比較するために3本の線であらわしてみます

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このように書くと大、中、小の大きさの違いが分かり安くなりますね。ここで、小を基準に中と大を考えてみます。小を基準にするので小の大きさの赤枠で囲うと以下のようになります

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赤枠で囲った部分の数量は300cmになります。これは小が3つ分の量なので、小は

300÷3=100(小)

と求まります。中は小より12cm大きいので

100+12=112(中)

と求まります。同じように、大は中より26cm大きいので

112+26=138(大)

となります。以上より、大、中、小はそれぞれ138cm、112cm、100cmと求まりました

考え方は問題2と全く同じです。問題2と問題3は問題の出しかたが違いますが全く同じ問題です。算数は初めてみるような問題も、柔軟に考える事が大事です。問題3の場合、問題で与えられた図をただながめていても解き方がひらめかないかもしれません。線分図等、自分で図を書くクセをつけてみると良いでしょう


問題4(応用:数量の和と差に関する条件がそのまま与えられていない)

ある船が川を上るときの速さは時速20㎞で、同じ川を下るときの速さは時速26㎞でした。この船の静水時の速さと川の流れの速さはそれぞれ時速何㎞でしょう。

この問題は以下の前提知識が必要になります。

  • 船が川を下る速さ=船の静水時の速さ+川の流れの速さ ・・・①
  • 船が川を上がる速さ=船の静水時の速さー川の流れの速さ ・・・②

この前提を理解した上で考えてみて下さい

そうです、「静水時の船の速さ」と「川の流れの速さ」の合計が上の①の条件であり、「静水時の船の速さ」と「川の流れの速さ」の差が②の条件である事に気づくと思います。ここで、「静水時の船の速さ」と「川の流れの速さ」をそれぞれ線であらわすとこのようになります

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まずは、「川の流れの速さ」を考えてみます。「川の流れの速さ」を基準に赤枠で囲うと以下のようになります
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赤枠で囲った部分の数量は6㎞になりますね。赤枠で囲った部分の数量は「川の流れの速さ」の2つ分なので

(川の流れの速さ)=6÷2=3(㎞)

とわかります。この事から静水時の船の速さは

(静水時の船の速さ)=3+20=23(㎞)

と求めることができます。以上です

この問題は、「船が川を上るときの速さ」「船が川を下るときの速さ」を「静水時の船の速さ」と「川の流れの速さ」に分けて考える点がポイントです。「静水時の船の速さ」と「川の流れの速さ」に分けて考えることができれば和と差の関係から基本的な線分図を用いて解く事ができるのです

なお、この問題は「流水算」と考える事もできます。「流水算」では別の切り口で線分図を書く事もあります。別の線分図の書き方は、「流水算」に取り組むときに紹介します

以前も言いましたが、図の書き方は1通りではありません。何通りも書くことができます。自分独自の図の書き方であっても良いのです。1つのやり方にこだわらず柔軟に考える力を身につけていきましょう!

 

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