kaneQの中学受験算数講座

図で考えれば中学受験算数なんて怖くない!

4-4. 売買損益算

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こんにちは、kaneQです

 

「算数は図で考える」を身につけ、算数の成績を伸ばしましょう

 

参考:目次

 

本記事では、「売買損益算」を紹介します

 

今回のゴールは以下です

ゴール:線分図を使用した比の活用法をマスターする

必要な知識:売買の仕組み、倍数計算、比の概念

 

売買損益算とは、品物を売買するときの利益や損失から原価、定価等を求める問題です
この売買損益算ですが、苦手とする人が意外と多いように思います。なぜだかわかるでしょうか?


売買損益算は、基本的な問題でもほぼ例外なく比や割合を駆使する事になります。よって、基本的な問題でも難易度が高めになるのです
売買損益算は、線分図を使って解くと考えてもらっても良いです。売買損益算をマスターすると線分図の理解がほぼ完成します
少し難しいなと感じる人も、本記事の内容を頑張って理解してみて下さい


まず、基本的な考え方のおさらいです


仕入れ値(原価)、見込みの利益、定価、利益、定価、売り値、値引きを図にするとこのようになります

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仕入れ値(原価):品物を仕入れるときの値段
利益:もうけの事。売った値段から仕入れ値を引いた金額
定価:品物を売る値段
売り値:品物を実際に売る値段。定価に対して値引きを考慮した金額

 

この図は1個当たりの金額を表現する場合に使われることが多いです

 

例:仕入れ値50円のリンゴを50円の利益を見込んで定価を決めました。このリンゴを10円値引きして売ると利益はいくらになりますか?

この例を図に書く事が出来ますか。売買損益算ではこのような問題文から図を書く事が必要になります

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ここでは2本の線分図で書きましたが、1本の線分図で書く事もできます。参考に紹介すると以下のようになります

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これらの図が理解できない場合は、自分のテキストで売買損益の仕組みを理解してください

 

次に、売り上げ高はこのような図で説明できます。売り上げ高は、多くの場合は合計の個数について表現します

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例:1個50円のリンゴを100個仕入れました。仕入れたリンゴのうち10個は腐っていたので捨てました。残りの90個のリンゴを全て売ったら売り上げ高は8100円でした。利益はいくらですか?

 

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これらの図は意味を正しく理解し、問題文から正しい図が書けるようにしておきましょう

 

本記事では以下の問題を解いてみましょう
問8以外は全て「基本」と考えて下さい。前述のとおり、「基本」ではありますが難易度は高めです。でも、大丈夫です。本サイトの「算数は図で考える」をマスターすれば必ず解けるようになります!


【問1】(入門:値引き率から定価を求める)
あるプラモデルを定価の2割引きで売ったところ、売り値は1600円になりました。定価は何円ですか?

 

【問2】(入門:利益率から仕入れ値を求める)
あるプラモデルを売ると60円の利益がありました。この利益は仕入れ値の20%にあたります。仕入れ値はいくらですか?

 

【問3】(基本:利益率から仕入れ値を求める)
あるプラモデルを仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけました。このプラモデルを定価の2割引きで売ると、利益は40円でした。このプラモデルの仕入れ値はいくらですか?

 

【問4】(入門:売り上げ高を求めてから定価を求める)
リンゴを70円で300個仕入れましたが、そのうちの25個は傷んでいたので売るのをやめました。傷んでいないものは全て売って、全体で1割の利益があるように定価をつけると、1個何円になるでしょう

 

【問5】(基本:値引き率と利益の差から定価を求める)
ある品物を定価の2割引きで売ると40円もうかり、2割5分引きで売ると20円もうかります。
(1)この品物の定価は何円ですか?
(2)この品物の仕入れ値は何円ですか?

 

【問6】(基本:割合だけで考える)
ある品物に仕入れ値の何割かの利益を見込んで定価をつけたところ、定価の2割引きで売っても、まだ仕入れ値の1割2分の利益がありました。定価を決める際、仕入れ値の何割の利益を見込んだでしょうか?

 

【問7】(基本:1個あたりの定価を①と置いて整理する)
仕入れ値が1個330円の品物を100個仕入れて、仕入れ値の何割か増しの定価をつけました。この品物を、10個を定価の3割引きで、30個を定価の2割引きで、残りを定価のままで全部売ったら3400円の利益になりました。定価はいくらですか?

 

【問8】(応用:つるかめ算を利用して解く)
なし500個を、仕入れ値の2割の利益を見込んで定価をつけて売りました。何個か売れ残ったので、残ったなしを5円引きで売ったら、全部売れて、利益は4000円になりました。これは初めに見込んだ利益の8割に相当します。

(1)なし1個の仕入れ値は何円ですか
(2)値引きして売ったなしは何個ですか?

 

【問9】(基本:とにかく整理する)
原価の2割5分の利益を見込んで定価をつけたある商品が、全部で100個あります。これらの商品を、3日間のお祭りの期間中に売る事にしました。
1日目:定価で30個売れました
2日目:1個につき定価から60円引いて50個売れました
3日目:残りの20個を定価の1割引きで売りに出したところ全て売れ利益は3日間であわせて19500円になりました。
(1)3日目の売値は原価の何倍ですか?
(2)原価はいくらですか?

 

それでは順番に解いてみましょう

 

【問1】(入門:値引き率から定価を求める)
あるプラモデルを定価の2割引きで売ったところ、売り値は1600円になりました。定価は何円ですか?

いつものとおり、問題文をそのまま図に書いていきます

「定価の2割引き」は

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で表現しましょう。2割をこのように表現するので定価は①となります。すると「定価の2割引きで売ったところ、売り値は1600円」はこのようになります

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難しく考えないでください。問題文をそのまま図に書いているだけです

さあ、この図をながめて分かる事を書き足してみます

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売り値の1600円は定価に対して8割である事に気づくと思います。この事から

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となります。よって、

①=1600÷0.8=2000(円)

となります。「定価は何円ですか?」と問われているので答えは2000円となります

 

【問2】(入門:利益率から仕入れ値を求める)
あるプラモデルを売ると60円の利益がありました。この利益は仕入れ値の20%にあたります。仕入れ値はいくらですか?

問題文をそのまま図に書いていきます

「利益は仕入れ値の20%にあたります」とあるので、仕入れ値は①、利益は

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とあらわす事ができます。これを念頭に、「プラモデルを売ると60円の利益がありました。この利益は仕入れ値の20%にあたります」をそのまま図にすると

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となります。この問題の図はこれで完成です

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なので、①=60÷0.2=300(円)となります。「仕入れ値はいくらですか?」と問われているので答えは①、すなわち300円となります

 

【問3】(基本:利益率から仕入れ値を求める)
あるプラモデルを仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけました。このプラモデルを定価の2割引きで売ると、利益は40円でした。このプラモデルの仕入れ値はいくらですか?

問題文をそのまま図に書いていきます

仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけました」「定価の2割引きで売ると」の2つの条件があります。このような場合はそれぞれをそのまま図に書きます。以下では2本の線分図で表現しますが、1本の線分図でも良いです

まず、「仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけました」ですが、仕入れ値を1とした時に、利益を0.3とします。また「定価の2割引きで売ると」は定価を1とし割引きを0.2とします。

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このままでは解けません。いつものとおり、ここから分かる事を図に書き足してみます。「定価の2割引きで売ると」より、売値は定価の8割という事が分かるので8割にあたる0.8を線分図に書き足してみます

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書き足した0.8を○をつけた比率で表す事ができそうです。1.3の0.8が売り値なので売値は1.04となります

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これより

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という事がわかります。よって①=40÷0.04=1000(円)と求まります

 

【問4】(入門:売り上げ高を求めてから定価を求める)
リンゴを70円で300個仕入れましたが、そのうちの25個は傷んでいたので売るのをやめました。傷んでいないものは全て売って、全体で1割の利益があるように定価をつけると、1個何円になるでしょう

問題文をそのまま図に書いていきます

「70円で300個仕入れました」と「全体で1割の利益があるように定価をつける」を図にすると以下のようになります

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この図より、売り上げは1.1なので

21000×1.1=23100(円)

という事が分かります

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「傷んでいないものは全て売って」より売ったリンゴの数は

300-25=275(個)

となります。275個を全体で23100円で売るので1個あたりの売値(定価)は

23100÷275=84(円)

と求まります

 

【問5】(基本:値引き率と利益の差から定価を求める)
ある品物を定価の2割引きで売ると40円もうかり、2割5分引きで売ると20円もうかります。
(1)この品物の定価は何円ですか?
(2)この品物の仕入れ値は何円ですか?

 

(1)この品物の定価は何円ですか?

問題文をそのまま図に書いていきます

「定価の2割引きで売ると40円もうかり」「2割5分引きで売ると20円もうかります」を図にすると以下のようになります

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この図をよく見て、分かる事を書き足してみましょう

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40円と20円の差は20円ですね。そして、この20円は定価を1とした時の比率で表すと、0.25と0.2の差の0.05に該当する事がわかります

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よって、
①=20÷0.05=400(円) (定価)と求まります。これが(1)の答えです

 

(2)この品物の仕入れ値は何円ですか?

続けて、わかる事を書き足してみましょう

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①=400円

である事が分かったので、

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となります。よって、

仕入れ値)=400-(40+80)=280(円)

と求まります

【問6】(基本:割合だけで考える)

ある品物に仕入れ値の何割かの利益を見込んで定価をつけたところ、定価の2割引きで売っても、まだ仕入れ値の1割2分の利益がありました。定価を決める際、仕入れ値の何割の利益を見込んだでしょうか?

問題文をそのまま図に書いていきます

仕入れ値の何割かの利益を見込んで定価をつけたところ、定価の2割引きで売っても、まだ仕入れ値の1割2分の利益がありました」とあります。この条件は「仕入れ値の何割かの利益を見込んで定価をつけたところ、定価の2割引きで売っても」の部分と「まだ仕入れ値の1割2分の利益がありました」の部分に分けてみます

まず、「仕入れ値の何割かの利益を見込んで定価をつけたところ、定価の2割引きで売っても」は定価を基準に考えるのがよく、定価の割合を1、「2割引き」の2割は0.2とあらわす事ができます

次に、「まだ仕入れ値の1割2分の利益がありました」ですが、こちらは仕入れ値を1とすると「1割2分の利益」は0.12で表す事ができます

これらの条件を図に書くと以下のようになります。ここで注意してほしいのは、定価の「1」と「仕入れ値の1」は異なる尺度での割合なので区別して書くようにしましょう

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この図に分かる事を書き足してみると以下となります

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この図より、

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という事が分かります。よって、

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となります。この事を図に書き足すと以下となります

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もうわかりましたね。仕入れ値の1に対して定価は1.4なので4割の利益を見込んでいたことが分かります


【問7】(基本:1個あたりの定価を①と置いて整理する)

仕入れ値が1個330円の品物を100個仕入れて、仕入れ値の何割か増しの定価をつけました。この品物を、10個を定価の3割引きで、30個を定価の2割引きで、残りを定価のままで全部売ったら3400円の利益になりました。定価はいくらですか?

 問題文をそのまま図に書いていきます

まず「1個330円の品物を100個仕入れて」と「3400円の利益」で全体像を書きます。ここに「10個を定価の3割引きで」「30個を定価の2割引きで」「残りを定価のままで」をそれぞれ書き足してみましょう。ここで、品物1個の定価を1とします。また、「10個を定価の3割引きで」は「10個を定価の7割で」に置き換えます。同じように「30個を定価の2割引きで」は「30個を定価の8割で」に、「残りを定価のままで」は「60個を定価のままで」と考えます。

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これを整理すると以下になります

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これより、
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なので、

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が求まりました

 

【問8】(応用:つるかめ算を利用して解く)
なし500個を、仕入れ値の2割の利益を見込んで定価をつけて売りました。何個か売れ残ったので、残ったなしを5円引きで売ったら、全部売れて、利益は4000円になりました。これは初めに見込んだ利益の8割に相当します。

(1)なし1個の仕入れ値は何円ですか
(2)値引きして売ったなしは何個ですか?

 

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定価は50円×1.2=60円
5円引きの値段は60-5=55円
なしを合わせて500個買いました。何個かを定価の60円で売りました。残りを5円引きの55円で売ったら売り上げ高は29000円でした。値引きして売ったなしは何個ですか?

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5円×☐個=1000円
よって、
☐=1000÷5=200個

 

【問9】(基本:とにかく整理する)
原価の2割5分の利益を見込んで定価をつけたある商品が、全部で100個あります。これらの商品を、3日間のお祭りの期間中に売る事にしました。
1日目:定価で30個売れました
2日目:1個につき定価から60円引いて50個売れました
3日目:残りの20個を定価の1割引きで売りに出したところ全て売れ利益は3日間であわせて19500円になりました。
(1)3日目の売値は原価の何倍ですか?
(2)原価はいくらですか?

 

この問題は自力で解いてみて下さい。

(1)は原価に対する定価の割合を求め、定価に対する1割引きの値段の割合を求める事で簡単に求まります。答えは1.125倍です

(2)は最終的な売上高に2日目で割り引いた額と3日目に割り引いた額を加えると見込みの利益になる事から求めます。答えは1000円です

 

頑張っていきましょう!

 

参考:目次