kaneQの中学受験算数講座

図で考えれば中学受験算数なんて怖くない!

5-3. 面積図 - 標準 -

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[Rev.0.01 2020/4/9]

 

こんにちは、kaneQです


「算数は図で考える」を身に着け、算数の成績を伸ばしましょう

 

参考:目次


「面積図」の基本に引き続き、標準的な知識を身につけていきましょう
標準的な知識を身につける事で応用問題、発展問題、難問への足掛かりが整います

なお、本サイトは、中学受験の算数が苦手な人や偏差値がなかなか上がらない人に問題を解くためのノウハウを伝授する事を目的としていますが今回の記事は少し難易度が高くなっています。内容が理解できない場合は気にしなくてよいです。その場合基礎的な問題に取り組んでまずは面積図になれて下さい。基礎的な面積図が十分に理解できてから本記事の内容に取り組んでもらえればよいです。6年生になってから理解するので十分間に合うと思います

 

「標準」のゴールは以下です
ゴール:比を使った面積図を理解する


今回扱う問題は以下の2つです。まずは自分で考えてみて下さい


【問1】
自分たちが所属する宇宙基地から敵の宇宙戦艦まで、通常のパイロットでは9時間かかりますが、S少佐は3時間しかかかりませんでした。S少佐は通常の何倍のスピードを出すことができるでしょうか?


【問2】
太朗君は今いくらかのお金を持っています。毎月決まった額のおこづかいをもらいます。1か月に1000円ずつ使うと3か月でなくなってしまいます。しかし、1か月に800円ずつ使うと5か月でなくなるといいます。太朗君が今持っているお金はいくらでしょうか。


最後まで解けなくても良いです。

書けるところまで図を書いてみて下さい

それでは問題1からやっていきましょう


【問1】
自分たちが所属する宇宙基地から敵の宇宙戦艦まで、通常のパイロットでは9時間かかりますが、S少佐は3時間しかかかりませんでした。S少佐は通常の何倍のスピードを出すことができるでしょうか?

速さ、時間に関する問題という事が分かります。縦を速さ、横を時間として面積図を書いてみます。「宇宙基地から敵の宇宙戦艦まで」の距離を進むのに、「通常のパイロットでは9時間かかる」「S少佐は3時間かかる」という事なのでそれぞれ図にすると以下のようになります

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このままだと進まないので、通常のパイロットの時速を①として考えてみましょう

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ここで注意。面積図(や線分図などの図)に割合や比を書くときは普通の数量と違うので、単なる数字ではなく、丸や三角などでくるんだ数字を書くと区別がつきやすくなります

通常のパイロットの時速を①とすると敵の宇宙船まで9時間かかるので敵の宇宙船までの距離は①×9=⑨となります。S少佐の面積図でも敵の宇宙船までの距離は同じなので⑨となります

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このことから通常のパイロットの時速を①としたときのS少佐の時速を求める事ができます。わかるでしょうか

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S少佐は敵の宇宙船まで3時間かかるのでS少佐の時速は⑨÷3=③となります。通常のパイロットはの時速を①とした場合、S少佐の時速は③なので、S少佐は通常の3倍のスピードを出す事ができるという事がわかりました


この問題は、通常のパイロットのスピードを①と置く事で、通常のパイロットのスピードに対するS少佐のスピードを比の形式で求めました

線分図でも比を使った事例を紹介しましたが、面積図でも同じように比を使って面積図を理解することが重要になります。かならず身につけて下さい

なお、この問題は「逆比」という考え方が適用できます。面積図の横はばがそれぞれ9時間と3時間なので横はばを比であらわすと3:1となります。ここで、それぞれの面積が等しいので面積図の縦はばの比は横はばの比と「逆比」となり1:3となります

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面積図ではこの「逆比」を使わないと解き進めない場合があります。「逆比」の考え方も必ず身につけましょう


【問2】
太朗君は今いくらかのお金を持っています。毎月決まった額のおこづかいをもらいます。1か月に1000円ずつ使うと3か月でなくなってしまいます。しかし、1か月に800円ずつ使うと5か月でなくなるといいます。太朗君が今持っているお金はいくらでしょうか。

この問題、覚えているでしょうか?
「2. 事例紹介」で紹介した問題です

本記事では、この問題を「逆比」を使って解いてみましょう

 

問題文をそのまま図にしてみます

「太朗君は今いくらかのお金を持っています」を面積図であらわすとこうなります

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次に「毎月決まった額のおこづかいをもらいます」「1か月に1000円ずつ使うと3か月でなくなってしまいます」をつけたしてみましょう

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次に、「1か月に800円ずつ使うと5か月でなくなるといいます」を図にします。先ほどの図に付けたしても良いですが今回は別の図にしてみます

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図を書くときはそろえるところはそろえるようにしましょう。この問題の場合、面積図の底面をそろえます。また、おこづかいの金額は同じなのでこのはばもそろえましょう。このようにそろえる事で、そろえた方と逆側の差が明確になるのです

さて、左側の図では横はばが3か月で右側の図では横はばが5か月なので横はばの比は3:5ですね

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ここで「いくらかのお金」の面積は左の図でも右の図でも同じです。よって「いくらかのお金」の縦はばの比は横はばの比の「逆比」になるので5:3という事になります

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どうでしょうか、何か見えてきませんか?

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そうです。縦はばの比の差は

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となり、この部分は1か月に使うお金の差

1000円ー800円=200円

と同じなので、

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となり

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であることが分かりました。ここで左側の図に注目すると「いくらかのお金」の縦はばは、

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と求まります。よって「いくらかのお金」は

500円 × 3か月 = 1500円

と求まりました。

 

どうでしょうか。「2. 事例紹介」では同じ問題を線分図と面積図を使って解く方法を紹介しました。そのときの解き方は、1か月にもらうおこづかいの金額を求める事で「いくらかのお金」を計算しました。しかし本記事のように「逆比」をもちいる事で1か月にもらうおこづかいを求めることなく「いくらかのお金」を求める事ができてしまいました。面積図になれると本記事のレベルの問題であれば瞬殺で解く事ができるようになります

 

比を使う事で面積図の世界が広がります!


それでは、楽しんでいきましょう!

参考:目次