kaneQの中学受験算数講座

図で考えれば中学受験算数なんて怖くない!

濃度算(食塩水)とてんびん図

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[Rev.1.00 2020/4/17]

 

こんにちは、kaneQです

 

参考:目次

 

本記事では食塩水の問題(濃度算)をてんびん図を使用して解く方法を説明します

まず、公式のおさらいです。以下は必ず覚えて下さい
食塩の重さ=食塩水の重さ×濃度

 

それでは実際に食塩水の問題(濃度算)を解いてみましょう。「なぜ濃度算でてんびん図が成り立つのか?」は難しいですが、文末に載せておきます

 

【例題】
12%の食塩水300gと2%の食塩水200gを混ぜてできる食塩水の濃度は何%になりますか?

 

まず、公式を使った基本的な解き方を説明し、次にてんびん図を使った説明をする事にします

 

(解1:公式を使った基本的な解き方)

「12%の食塩水300g」と「2%の食塩水200g」を混ぜるとありますのでそのままのイメージを図にしてみます(いわゆるビーカー図です)

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混ぜた後の食塩水は300gと200gを足した500gになることが分かると思います。他に分かる事を書き足してみましょう

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「12%の食塩水300g」には公式を使い食塩が36g含まれている事がわかります。また、「2%の食塩水200g」には4gの食塩が含まれていることが分かります。よって、混ぜた食塩水には食塩は36gと4gの和の40g含まれている事が分かります

混ぜた後の食塩水の重さは500gで、含まれる食塩は40gなのでこの食塩水の濃度は
濃度=食塩の重さ÷食塩水の重さ =40÷500 = 0.08
となり8%である事が求まりました

 

次にてんびん図を使った解き方をみてみましょう

 

(解2:てんびん図をつかった解き方)
「12%の食塩水300g」と「2%の食塩水200g」を混ぜるとありますのでそれぞれの食塩水をおもりとしててんびんの図を書いてみます

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てんびんの支点は300gと200gを支えるので重さのつり合いから500gの力が加わる事になります。食塩水のてんびん図において、支点は各食塩水を混ぜ合わせた食塩水をあらわす事になります

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また、てんびんをつりあわせるためには300gによるモーメントと200gによるモーメントを等しくする必要があるので、それぞれのおもりと支点との距離はおもりの重さの「逆比」になります。それぞれのおもりの比とそれぞれのおもりと支点との距離の比を書き加えると以下のようになります

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次に濃度です。300gの食塩水の濃度が12%、200gの食塩水の濃度が2%なので濃度の差は10%となります。一方で支点とおもりの距離の比の合計は⑤となります

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図において、比の合計の⑤は濃度の差の10%と等価なので

① = 2%

と換算できる事になります。よって、支点の濃度は

2%+③ = 2%+(3×2%)=8%

と求まりました

  

てんびん図を利用して濃度算を解く場合、「各食塩水の濃度と、混ぜ合わせた後の食塩水の濃度の差の比は各食塩水の重さの逆比となる」という考え方を使う事になります

なぜ「各食塩水の濃度と、混ぜ合わせた後の食塩水の濃度の差の比は各食塩水の重さの逆比となる」が成り立つのかは文末に載せますが、まずは「そういうもんだ」くらいに考えておいてください

 

ここで、(解1:公式を使った基本的な解き方)と(解2:てんびん図をつかった解き方)を比較してみたいと思います

 

(解1)では、混ぜる前の食塩水に含まれる食塩の重さをそれぞれ計算で求め、混ぜた後の食塩の重さと食塩水の重さから濃度を計算しました

(解2)は比を使った簡単な計算だけで濃度が求まりました

計算の量で比較すると(解2)の方が圧倒的に少ないです。つまり、計算ミス等をする可能性も低くなります

一方で、(解2)は食塩水の意味を考えなくても問題が解けてしまいます。極端なはなし、てんびん図は「各食塩水の濃度と、混ぜ合わせた後の食塩水の濃度の差の比は各食塩水の重さの逆比となる」という事だけ意識しさえすれば食塩水の公式を覚えていなくても問題が解けてしまいます。また、「なぜてんびん図を使って解く事ができるのか」を理解していなくても単なるてんびんパズルとして問題を解けてしまいます。もし、食塩水の意味を理解しないままてんびん図を使っていると、てんびん図では解けない濃度算に太刀打ちできなくなるので注意しましょう

 

本記事のまとめです

  • てんびん図は問題を早く解くために非常に有効な手段である
  • てんびん図は計算ミスをなくすために非常に有効な手段である
  • 基本的な解き方を理解した上でてんびん図を使う事
  • てんびん図でなぜ濃度算を解く事ができるのかを理解した上でてんびん図を使う事(これは正直、小学生には難しいと思います)

 

さて、先ほど予告しましたが、「各食塩水の濃度と、混ぜ合わせた後の食塩水の濃度の差の比は各食塩水の重さの逆比となる」について説明します。説明にあたり、「分配法則」と「代入」、「移項」、「比例式」を駆使するため小学生には難しめの内容と思いますが、1回は説明を読んでみて欲しいです。できれば数式の部分をノートに書き写すくらいすると理解が深まります

 

以下の状況を考えてみましょう

食塩水A(濃度aの食塩水Ag)と食塩水B(濃度bの食塩水Bg)を混ぜて食塩水C(濃度cの食塩水)をつくる (a > c > bとする)

まずビーカー図で整理してみます

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食塩水Cに含まれる食塩の重さは
(A+B)×c
とあらわす事ができ、また食塩水Cに含まれる食塩の重さは食塩水Aと食塩水Bに含まれる食塩の和なので
(A×a)+(B×b)
とあらわすことができます。これらが等しいので
(A+B) ×c=(A×a)+(B×b)
となります。これより

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が成り立ちます。ここでてんびん図を書いてみましょう

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濃度に注目してみます。今、a > c > b なので、(a – c) : (c – b)について考えてみましょう。ここでcについて先ほどの①の置き換え(代入)をしてみると以下のように整理できます

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となります。長くなったのでまとめを書くと

(a – c) : (c – b) = B:A

となる事がわかりました。先ほどの図にこの事を書き足すと以下のようになります

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この図は「各食塩水の濃度と、混ぜ合わせた後の食塩水の濃度の差の比は各食塩水の重さの逆比となる」を示しています。濃度に関しても食塩水の重さの逆比が成り立つことが分かりました。これで安心しててんびん図を使う事ができますね!

 

食塩水の問題には様々なバリエーションがあります。いくつか紹介しますので興味のあるかたはこちらをどうぞ

参考ですが、面積図を使った濃度算の解き方はこちらに掲載しました

 

それでは、頑張っていきましょう!

 

参考:目次

 

[Rev.0.00 2020/4/17]