kaneQの中学受験算数講座

図で考えれば中学受験算数なんて怖くない!

4-3. 相当算

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[Rev.0.00 2020/3/20]

 

こんにちは、kaneQです


「算数は図で考える」を身につけ、算数の成績を伸ばしましょう

 

参考:目次

 

本記事では、「相当算」を紹介します。「相当算」はあまり注目されてませんが、実は線分図を使う特殊算の中で非常に重要な分野なのです。相当算の考え方は年齢算、仕事算などのいろいろな特殊算に応用されているので確実に理解しましょう

 

 今回のゴールは以下です


ゴール:比を使って数量を求める方法をマスターする

 

必要な知識:倍数計算、比の概念

 

相当算とは、元にする量の何割かに相当する量が与えられ(または求め)、何割かに相当する量から元にする量を求める問題です。まず練習問題をといてみましょう

 

【練習問題】
ある本があります。20%に相当するページ数は30ページです。この本は何ページあるでしょうか?

 

「20%に相当するページ数は30ページ」を全体を①として線分図を書くと以下のようになります

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よって、

①=30÷0.2=150(ページ)

となり、この本は150ページある事がわかります

 

このように、元にする量の何割かに相当する量が与えられ(または求め)、何割かに相当する量から元にする量を求める問題を相当算と言います

 

本記事では以下4つの問題を解いてみましょう

 

【問1】(基本:残りの量からもとに相当する量を求める)
ある本を、全体の5/9より10ページ少なく読んだら残りが170ページになりました。この本は何ページあるでしょう

 

【問2】(基本:増えたあとの量からもとに相当する量を求める)
たろう君は、初めに持っていたお金の1/8をもらい、持っているお金が1800円になりました。たろう君が初めにもっていたお金はいくらですか?

 

【問3】(基本:分かっている数量の和からもとに相当する量を求める)
持っているお金の1/4より600円多い金額で牛肉を買い、1/5より500円多い金額で豚肉を買うと、ちょうど持っているお金になります。牛肉はいくら買いましたか?

 

【問4】(基本:分かっている数量の差からもとに相当する量を求める)
あるクラスの男子はクラス全体の1/4より10人多く、女子はクラス全体の2/3より7人少ないです。このクラスの男子は何人ですか?
 

それではまず問1に挑戦しましょう

【問1】(基本:残りの量からもとに相当する量を求める)
ある本を、全体の5/9より10ページ少なく読んだら残りが170ページになりました。この本は何ページあるでしょう

まず、問題文をそのまま線分図に書いてみましょう。全体の量を①とし、「全体の5/9より10ページ少なく読んだら残りが170ページ」をそのまま書くと以下になりますね

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いつものように、ここからさらにわかる事を全て図に書いてみます。何が見えてくるでしょうか?

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全体の4/9に相当するページ数が160ページという事がわかりますね。よって、全体の①は

160÷4/9=160×9/4=360(ページ)

となり、この本は360ページであることが分かりました

 

元にする量を①と置く事がこの問題のポイントとなります

 

【問2】(基本:増えたあとの量からもとに相当する量を求める)
たろう君は、初めに持っていたお金の1/8をもらい、持っているお金が1800円になりました。たろう君が初めにもっていたお金はいくらですか?

 問題文をそのまま線分図に書いてみましょう。初めに持っていたお金を①とし、「初めに持っていたお金の1/8をもらい、持っているお金が1800円になりました」をそのまま書くと以下になりますね

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いつものように、ここからさらにわかる事を全て図に書いてみます。何が見えてくるでしょうか?

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全体の9/8に相当するページ数が1800円という事がわかりますね。よって、全体の①は

1800÷9/8=1800×8/9=1600(円)

となり、たろう君ははじめ1600円もっていたことが分かりました

 

問1と同じく、元にする量を①と置く事がこの問題のポイントとなります

 

【問3】(基本:分かっている数量の和からもとに相当する量を求める)
持っているお金の1/4より600円多い金額で牛肉を買い、1/5より500円多い金額で豚肉を買うと、ちょうど持っているお金になります。牛肉はいくら買いましたか?

問題文をそのまま図に書いてみます。「1/4より600円多い金額で牛肉を買い」「1/5より500円多い金額で豚肉を買う」を図にすると以下のようになります。全体の量を①とする事を忘れないようにしましょう

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少し整理すると以下のようになります

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「分かっている数量」は600と500の和で「1100円」です。これに該当する量は全体から1/4と1/5を引いた11/20である事がわかります。よって①に相当する金額は

1100÷11/20=1100×20/11=2000(円)

と求める事があります。「牛肉はいくら買いましたか?」と問われているので

2000×1/4+600=1100円

となります

 

(別解)複数本の線分図を使う考え方

今回は牛肉と豚肉だけだったので1本の線分図でも整理しやすかったですが、とり肉や魚などの条件が増えた場合1本の線分図ではわかりにくい場合があります。そのような事を想定すると、複数の線分図を書いてみる解法も知っておくと良いでしょう

本問題は牛肉と豚肉なので2本の線分図を使う事になります

 問題文をそのまま図に書いてみます。「1/4より600円多い金額で牛肉を買い」「1/5より500円多い金額で豚肉を買う」をそれぞれ図にすると以下のようになります。

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ここで全体の量を①とするとこのように考えることができます

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 上の図を分数の部分と金額の部分に分けて1本の線分図にまとめると以下のようになります

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「分かっている数量」は600と500の和で「1100円」です。これに該当する量は全体から9/20を引いた11/20である事がわかります。よって①に相当する金額は

1100÷11/20=1100×20/11=2000(円)

と求める事があります。「牛肉はいくら買いましたか?」と問われているので

2000×1/4+600=1100円

となります

 

結局1本の線分図にまとめるので「初めから1本の線分図でいいじゃないか」と思うかもしれません。ただ、条件が3つ4つあるいはそれ以上になった場合に上図のような図をいきなり書くのは慣れが必要です。慣れている人でも間違う可能性もあります。少なくともはじめのうちはまずは複数の図を書いてから整理するくせをつけておく事をおすすめします。ケアレスミスがいっこうに減らない」と悩んでいる人には効果があると思います

【問4】(基本:分かっている数量の差からもとに相当する量を求める)
あるクラスの男子はクラス全体の1/4より10人多く、女子はクラス全体の2/3より7人少ないです。このクラスの男子は何人ですか?

この問題も問題文をそのまま図に書いていく事で答えが導かれます。ただ、少し図が複雑になります。まずは自分で考えてみて下さい

 

どうでしょうか。わかりましたか?

完成図を紹介しておくと以下のようになります

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難しいと感じる人もいるかもしれません。でも大丈夫です。簡単です。初めから順に書き足してみましょう

まず準備として、全体を①とし男子と女子を線分図に書くと以下のようになります。ここで男子と女子の割合は気にせずてきとうに書いてみましょう

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次に「男子はクラス全体の1/4より10人多く」を書き足してみます。そのまま書き足せばよいです。具体的には以下の青色の部分となります

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同じように「女子はクラス全体の2/3より7人少ない」を書き足してみます。具体的には以下の赤色の部分となります

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この図をよく見て、さらにわかる事を書き足してみます。10人と7人の差が3人である事がわかります(わかっている数量の差)。この「3人」は全体から1/4と2/3を引いた1/12に相当する事もわかりますね。これらを図に書きたすと以下になります

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はじめに紹介した図の完成です。少しずつ図を書き足していけば確実にこの図に到達できます。あせらずに考えましょう

さて、「3人」が1/12に相当するので全体の①は

①=3÷1/12=36(人)

とわかります。問われているのは「このクラスの男子は何人ですか?」なので

(男子)=36×1/4+10=19(人)

 と求めることができました

 

普段意識する事は無いと思います。意識する必要もありません。ですが、「相当算」は非常に重要です。本記事の内容は確実に理解して使いこなせるようにしてください

 

それでは頑張りましょう!

 

参考:目次